筋トレの頻度、週2が効果的ってホント?目的別で考える負荷強度と回数の決め方

筋トレの頻度、週2が効果的ってホント?目的別で考える負荷強度と回数の決め方 

筋トレで効果を出すためには、トレーニングの負荷が適切でなければいけません。負荷が低すぎれば筋肉は成長しませんし、負荷が高すぎれば正しく動作できず、効果が低くなったりケガしたりするリスクが高まります。そのため、筋トレの強度を考えるうえで重要なのが「負荷・強度設定」と「頻度・回数設定」です。ここでは筋トレ初心者に向けて、トレーニングの頻度や負荷設定の方法をご紹介します。

強度設定は「過負荷の原則」に従って考える

 強度設定を考える際に、覚えておいてほしいのが「過負荷の原則」です。これは、ずっと同じ刺激量ではカラダは成長せず、より多くの負荷を与えることによって成長していくという理論です。

日常生活以上の負荷をカラダに与えなければ、トレーニングの効果は現れません。これを「過負荷の原理(オーバーロード)」といいます。また、トレーニングをしていてもいつも同じ負荷では、カラダが刺激になれてしまうため効果が現れにくくなります。

 たとえば、5回で限界になる10kgの重量を使っていたとしましょう。しかし同じ10kgの重量を使い続けていても、効果はだんだん現れなくなってきます。カラダを成長させるためには、負荷を増やし続ける必要があるのです。まずは、どのような効果を期待して筋トレを行うか考えてみましょう。「筋力を向上させたい」「筋肉を大きくしたい」「ダイエットのため」などいろいろな目的が考えられ、それぞれの目的に合わせて強度を決める必要があります。まずは、使用重量の観点から見ていきましょう。

筋トレの負荷設定と回数の決め方

 初心者の場合、今まで使用していた重量が軽く感じられるようになっても、重量を変更せずに回数を多くする方法で行っている人が多いようです。たとえば腕立て伏せ。腕立て伏せは加重せず、どんどん回数を増やしていく方が大半ではないでしょうか。回数を多くすることでも負荷は高まりますが、目的の効果が得られないかもしれません。回数を増やすのではなく、目的に合わせて“使用重量”を増やしていく必要があります。

◆筋力向上が目的の場合

「重いものを持ち上げられる体力をつけたい」「競技スポーツのパフォーマンスアップのために筋力を向上させたい」といった“筋力向上”が目的の場合は、3〜7回程度で限界を迎える負荷設定を行う必要があります。

◆筋肥大が目的の場合

「筋肉を大きくしたい」「カラダを大きくしたい」というような“筋肥大”を目的とする場合は、8〜12回程度で限界を迎える負荷設定で行いましょう。ダイエットのために筋肉を増やしたい場合も、この重量設定で行のがオススメです。

◆筋持久力が目的の場合

「同じ動作を繰り返し長時間行えるようにしたい」「疲れにくくしたい」といった “筋持久力”を目的とする場合は、13~20回程度で限界を迎える負荷設定が効果的です。

 先述した回数を増やしていく筋トレのやり方は、この筋持久力を高める方法になってしまい、筋力や筋肥大効果は大きくありません。逆に筋持久力を高めたい人は、回数をどんどん増やしていく方法でもよいでしょう。

 ちなみに使用重量以外に負荷を高める方法は以下です。

セット間の休憩時間を短くする

 セット間の休憩を短くしてみましょう。普段2分以上休んでいるのであれば、それは休み過ぎです。10~30秒くらいで設定してみてください。セット間の休憩時間を短くすることで、1回のトレーニング時間を短くすることが可能です。また、休憩中の心拍数の低下を防ぐことができ、ダイエットにも効果を発揮します。

可動域をできるだけ大きくする

 動作の可動域をできるだけ大きくすることによって、筋肉全体に負荷がかかり、力を発揮している時間も長くなるため負荷が高まります。可動域が狭くなってしまう原因として多いのは、重すぎる重量を使っている、もしくは可動域を大きく動かすメリットを理解していない場合。しっかり可動域を大きく使ってトレーニングしましょう。

動作スピードをゆっくり行う

 動作のスピードを意識的にゆっくりすることでも、筋肉への刺激を大きくすることができます。特に筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する“エキセントリック局面”で、ゆっくり行うように意識するとよいでしょう。

筋トレの頻度の決め方

筋トレの頻度、週2回が効果的って本当?

 強度設定の次に考えたいのが、トレーニング頻度です。よく「トレーニングは休息が大事なので週2回がオススメ」といった話を聞きますが、これは本当なのでしょうか。

 週2回がよいという理由は、超回復の理論をもとにしているようです。超回復とはトレーニング後48~72時間休息をとることで、トレーニング前の体力よりも向上するという理論。そう聞くと、確かに週2回くらいが最適と思ってしまうかもしれません。しかし頻度が少なくなれば、カラダに対する刺激量が少なくなってしまいます。できるだけ頻度を高めるには、どのようにしたらよいのでしょうか。

レーニングや練習を行うことによって起こる、エネルギーの枯渇や筋線維の損傷。あるいは蓄積する疲労など、カラダにさまざまなストレスがかかることで、一時的に体力は低下します。その後、適切な休息をとることで筋肉が回復していき、その結果として筋力の向上や筋肥大などの成果が現れるのです。トレーニング後に起こるこの現象を「超回復」といい、その理論を超回復理論と呼びます。

全身を一度に鍛える場合は週2でOK。部分ごとに鍛えるなら毎日でもできる

 毎回筋トレで全身をハードに鍛えるのであれば、確かに週2回でよいでしょう。でも、1回の筋トレごとに部位を分けて行う方法であれば、週に4回も5回も行うことができます。トレーニング部位を3つに分けた場合、毎日行ったとしても同じ部位を次に行うのは最短でも3日後。超回復の効果もしっかり得ながら、トレーニング頻度を増やすことが可能です。そのため、筋トレは部位を分け、高頻度で行うことをオススメします。

 筋トレの強度設定は難しいですが、効果をしっかり出すためには非常に重要なポイントです。まずは自分の目的に合った負荷を探し、徐々に負荷を高めていくようにしましょう。

毎日筋トレするなら“部位別”に鍛えよ

1.まずはトレーニング頻度を決める

 まずは、自分が週に何回トレーニングできるか考えてみましょう。トレーニング頻度によって、メニューの組み方が変わってきます。週2回しかできない人もいれば、週5回できる人もいるはずです。

2.トレーニング部位を分けてメニューを組む

 トレーニング頻度によって、その日鍛える部位を分けてメニューを作りましょう。毎回全身を鍛えていたら、1回のトレーニング時間が長くなってしまいます。また、疲労が蓄積してオーバーワークになってしまうかもしれません。

 基本的な部位は、「胸」「背中」「肩」「腕」「下半身」に分けられます。週4~5回など高頻度でトレーニングできる人は、これを以下のように組み合わせてみてください。

例)
A:胸+腕(上腕三頭筋
B:背中+腕(上腕二頭筋
C:肩+腕(上腕三頭筋
D:下半身+腕(上腕二頭筋

 このように部位を細かく分けて順番に行うことで、オーバーワークを防ぎながら高頻度でトレーニングを行うことができます。

 週2回など、あまりトレーニングを行う時間が取れない場合は、以下のように分けて交互に行うとよいでしょう。

例)
A:上半身(胸・背中・肩・腕)
B:下半身

3.筋肉大筋群→小筋群」の順で鍛えるのが基本

 実施するエクササイズの順番を考える際、大筋群(大きな筋肉)のエクササイズから始めるのが一般的です。大筋群は大きな力を発揮することができ、高重量を扱うことができるエクササイズが多い部分。しかし大きな力を発揮するためには、多くのエネルギーが必要です。

 また、高重量を扱うことによるケガを防ぐためには集中力が必要となります。そのため、心身ともに疲労が少ない状態のうちに、しっかり行っておきたいところです。

 たとえば胸と腕を鍛える日の場合、大きい筋肉である胸を先に鍛えて、その後に小さい筋肉である腕を鍛えるという流れになります。腕を先に鍛えてしまうと、胸をエクササイズのときに腕が疲労していて大きな力を入れることができません。すると、胸に対する刺激量が少なくなってしまうのです。

4.エクササイズ種目は「多関節→単関節」の順が効率的

 エクササイズは2つ以上の関節が動き動作を行う「多関節種目:コンパウンド種目」と、1つの関節しか動かない「単関節種目:アイソレーション種目」に分けられます。たとえば胸を鍛えるエクササイズの場合、肩関節と肘関節が動くベンチプレスやダンベルベンチプレスは多関節種目。肩関節しか動かないダンベルフライやバタフライは単関節種目となります。

 多関節種目は複数の筋肉が同時に力を使うことになるので、大きな力が発揮でき、高い刺激を得ることができます。一方で単関節種目は1つの筋肉で動作を行うため、多関節種目に比べ扱える重量は少なくなります。

 しかし、鍛えたい部分を集中して刺激することが可能です。エクササイズを選ぶ際は多関節種目を先に行い、ある程度大きな刺激を与えた後に単関節種目で限界まで追い込むのが効率的でしょう。

5.トレーニングは「フリーウエイト→マシン」の順で安全に行う

 筋トレ初心者を卒業するためにも、バーベルやダンベルを使って行うフリーウエイトをメニューに取り組んでいくようにしましょう。フリーウエイトはマシントレーニングに比べ、動作を行う上でメインとなる力を発揮する筋肉だけでなく、姿勢を保つための筋肉やバランスをとるための関節まわりの小さな筋肉など、多くの部分を同時に鍛えることが可能です。

 しかし、マシンに比べて不安定性があり、動作が難しいというデメリットがあります。そのため、疲労が少ないトレーニング序盤にフリーウエイトを組み込むとよいでしょう。

 疲労が蓄積してくるトレーニング後半では、姿勢を安定させて行えるマシントレーニングを行うことをオススメします。重量を簡単に変えることができたり、反動を使いにくくストリクトで動作を行うことができたりするので、最後の追い込みに最適なのです。

6.前半は「高重量×低回数」、後半は「低重量×高回数」

 筋持久力の向上を目的としている場合は別ですが、筋力向上や筋肥大を目指しているのであれば、トレーニング序盤は「高重量×低回数」で行い、トレーニング後半は「低重量×高回数」で行うようにしましょう。

 他メニューの組み方と同様、トレーニング序盤の疲労が少ないときは、できるだけ筋肉に大きな刺激を与えた方が効果的です。5~10回程度で限界になるよう、エクササイズの重量を設定して行ってください。

 トレーニング後半では疲労の影響もあり、重い重量を扱えなくなってしまいます。また、疲労が溜まった状態で高重量を持ち上げようとすると、反動を使ってしまい効果が低くなったり、ケガをしたりしてしまうリスクも高まります。最後は12~20回くらいできる重量で、できるだけ反動を使わずに筋肉を追い込みましょう!

筋トレに最適な時間帯とは?

 筋トレをする時間帯にも効果的な時間というのはあるのでしょうか。

「ヒトには24時間の中で生理現象が変動する概日リズム(サーカディアンリズム)が存在することが知られ、このリズムの中で筋トレの効果が最も得られるのかといった検証も、実験動物を用いて実験されています」(鴻﨑さん)

 概日リズムとは一般的に体内時計といわれるもので、この体内時計と筋トレ効果についての実験があったとは興味深い。

「しかしながら、午前中に筋トレを実施した方がよいと報告している論文もあれば、夕方の方がよいと報告している論文も存在します(Camera 2018, Frontiers in physiology)。筋トレにオススメの時間帯は、実は未だ明らかとなっていないのが現状です」(鴻﨑さん)

 つまり午前中に筋トレすることで最大の効果が得られる人もいれば、午後や夜の方が効果を得られる人もいるのだそうです。これは概日リズムが筋トレする個々人の生活背景や生活環境に大きく依存されるものであるからと、鴻﨑さん。そういわれると朝の方が調子がいい朝型の人、夜が絶好調という夜型の人がいますよね。

 この概日リズムと筋トレの関係では、最近おもしろい報告もなされています。筋トレに最適な時間は自分で作ることができるというのです。

 ヒトの概日リズムの中で、最も筋力が高まる時間帯は午後2~6時で、最も低い時間は午前6時と夜の10時ということがわかっていて、比較すると最大で6%も向上し、ケガのリスクも減少するのだそうです。また運動のパフォーマンスは体温と深く関係しており、ヒトの体温は早朝と夕方遅くに上昇します。オリンピックでは新記録の多くが午後に生まれるというデータもあり、ヒトの身体機能の向上が午後の時間帯にピークを迎えることが示された結果といます。

 ですから、筋トレもこの時間帯にすると効果がある可能性は確かなようです。ただ、概日リズムは先に述べたように個々人の生活リズムに依存されると同時に、本能的に快適な時間帯をそれぞれ持っているとも。

 つまり効果的な筋トレの時間帯は、個々人により異なる時間を持っているということになるのです。

 概日リズムは24時間10分を周期に回っており、1ヵ月で5時間ぐらいのズレが発生します。また明るさと暗さに影響されることから概日リズムは調整可能ということになり、起床と睡眠時間の操作である程度リセットすることができます。

 したがって起床時間を早めて筋トレすることを習慣づければ、筋トレの効果的な時間帯もコントロールできるのではということです。ちなみにハード面ではジムは朝の方が空いていて、夜の方が混雑する傾向にあります。自宅で筋トレの場合は問題ありませんが。